前立腺がん・膀胱がん罹患犬の抗がん剤感受性検査について

イヌの泌尿器がん(前立腺がんおよび膀胱がん)は、悪性度が非常に高く、発症率が増加し続けています。イヌの泌尿器がん治療には、外科手術、非ステロイド性の抗炎症剤および化学療法が用いられていますが、ほとんどの罹患犬は治療の甲斐なく早期に死亡するため(下図)、新規治療法の確立や診断マーカーの探索が課題となっています。

当研究室では、泌尿器がん(前立腺がんおよび膀胱がん)罹患犬の尿に含まれる微量ながん幹細胞から生体内のがん組織を培養ディッシュ上で再現する新たな実験モデルを確立しました(Usui et al., Cancer Science, 2017, Elbadawy & Usui et al., Cancer Science, 2019, プレスリリース)。これまでの研究の結果、尿サンプル由来泌尿器がんオルガノイドへのビンブラスチン、シスプラチンなどの抗がん剤の単剤あるいは併用処置による感受性が個体間で異なることが明らかとなり、各個体の治療に対する感受性を非侵襲的に把握し、より効果的な治療薬を選択できることが示唆されました。

しかし、実際の臨床における検査の有用性は明らかになっておりません。そこで、尿サンプル由来泌尿器がんオルガノイドの臨床応用を目指して前立腺がん・膀胱がん罹患犬の抗がん剤感受性検査を実施いたします(20-30検体を予定しています)。

前立腺がんあるいは膀胱がんの疑いあるいは既に治療を行われている患者さんが対象となります。本検査にご協力いただける獣医師の方は、下記の宛先にメールあるいは電話でお問い合わせください。

東京農工大学 農学部 獣医薬理学研究室

臼井 達哉

email: fu7085*go.tuat.ac.jp
(*を@に変えてください)
TEL: 042-367-5770

サンプルの受け取り方法についてご説明した後に、こちらから細胞保存用液、患者様の情報のアンケート用紙を送付いたしますので、尿から回収したがん細胞をチューブに入れていただいて、アンケートを同封し、クール便にてご返送ください。

本臨床研究に協力いただいた獣医師の先生方には、オルガノイド検査の結果と、その後の治療効果(腫瘍の退縮や、QOLの改善等)について情報を共有いただき、学会や学術誌等で発表していく予定です。本研究によって、イヌ泌尿器がんの新たな治療アルゴリズムを構築していきたいと考えておりますので(下図)、ご協力よろしくお願いいたします。

注意①: 送っていただいたサンプル中に上皮がん幹細胞が存在しない、培養開始後細胞が増殖しない、尿路感染症によって培養自体が困難などの理由により、検査の実施が出来ない場合もありますのでご了承ください。

注意②: 採取いただく細胞は可能な限り多めに取っていただき、遠心分離後に尿上清や洗浄液を除去して、お送りする保存用培養液で混合していただけると培養効率が向上し、抗がん剤感受性試験の実施が迅速に行うことができます

注意③:今回実施する薬剤以外の感受性試験につきましては、研究の進捗状況に合わせて追加していく予定ですので、別途お問い合わせください。